THE WEIGHT

孤独は楽だ。
そんなに楽をしちゃいけない。


書き溜めていたことをいくつか。




 Jamaicaの旅行記で書いたが、一人旅は不安であると同時にとても気楽だ。自分自身の心配をしていればいいし、自分自身にだけ責任を持てばあとは自由だ。どこへ行こうと、何をしようと、結果がどうであれ全て自分に跳ね返ってくる。
「僕がどれだけ一生懸命にいいプレーをしても、他の選手のミスで負けるときがたまらなく嫌だった。11人のメンバーで試合をしているんだから、しょうがないことだということはすぐわかる。僕のミスで負けることもあるんだからね。でも、自分でやったことがちゃんと自分に跳ね返ってこないということは、辛いことだよ。」こう言った彼はその後クライマーになった。わがままな人間はこう言う。俺もその類かもしれない。「辛いこと」から逃げて、孤独という大儀を掲げて自由を一人謳歌する。荷物が少なければフットワークも軽い。
だが、それでいいのか?とまた自問自答が続く。これまで見た景色で、素晴らしかった景色は?重い荷物を背負って、しんどい中たどり着いた景色だったじゃないか。そして色々な出会いをまたカバンにいっぱい詰め込んで帰ってきたじゃないか。デスペラード、人と生きることを覚悟したんなら、心の片隅にでもいいから、大切なものは仕舞っておくんだな。もちろんまた荷物を減らしたり、カバンを変えたりはするだろう。でも、忘れちゃいけないものは増えてくもんだ。




 先日、アメリカを一緒に旅していた友達が旅行記を書いていた。あんなにエキサイティングで濃かった日々とは裏腹に、彼女たちの書く日記はあっさりしていた。少し意外だったが、なんだかその気持ちが分かる気がした。クライマーの加藤保男は一冊の本を書いているが、山際淳司はこう評す。「彼が書き連ねた言葉に生気はない。実際はもっとドラマチックであったはずなのに、言葉は存外そっけない。行為そのものに興味を持つ人間にとって、あとからそれを振り返ることなど、どうでもいいことなのだ。」と。
 伝えることは大事だし必要なことだけど、何か成し遂げたあとに、伝えることを疎ましがっている自分がいたとき、少し安心する。「ああ、俺は別にファッションだけでやってたわけじゃなかったんだな」とそこで分かるからだ。人にちゃんと全てを伝える余裕がないから、分かりやすいブランドや表面だけのファッションで身を取り繕う、と誰かが言っていた。ああ、別に何処どこへ行っただとか、どんな派手なことをしたとかじゃなく、人生を通して伝えることが出来ればそれは満たされるんだな。不器用な俺たちは毎日言葉で伝え合って、勘違いしたり、言いなおしたりして生きてる。




変化は責任を伴う


言葉はあくまで言葉でしかない。
カッコいいことを言おうと思えば誰でも言える。
難しいのは、自分が発した言葉に負けじと行動することだ。


変わり続けるためには、背負い続けなければならない。変わっていくことを受け入れた俺たちは、それまでの自分にも責任を持たなければならない。旅人はそれまでの荷物を捨て、また新しいカバンを持って次の街へ行く。心にはより多くの荷物を背負って。




浮気性


 あっちこっち行く理由はいくらでもある。ここにはないものが、他の街にはいっぱいあるし、新しいもの好きの俺たちには試してみたいバッズがたくさんあるんだ。ただ、一箇所に留まると言うのなら、理由はそんなにはない。でも、大切な理由がそこにあるはずだ。なぜなら、それは旅人である俺たちが旅をやめる理由だから。俺の場合はプライドって奴だった。




自信


 先述の論文で、情報の安全性と利便性がトレードオフであることについて考えていた。クラウド時代への移行に備えてIT大手はデータセンター建設に躍起になっているが、例えば地震や戦争などによるデータ損失のリスクについて果たしてどう考えているのだろうかと調べていたら、「そもそも自社のセキュリティはそんなに信頼のおけるものなのか?」という問いかけがあり、確かにと思った。クライアントは何故か自信を持っている。そしてネットワーク上にデータを置くことを怖がっている。だからバックアップを自社で持つようにする。最先端の情報処理の専門家集団よりも、コンピューターに疎い自社の管理システムを信頼する。そのままでは情報の在庫コストは減らない。安全性の観点から一見矛盾に思えるかもしれないが、バックアップを持たせない仕組みづくり、例えば情報保障契約のようなものが必要だ。そのうちクラウド保険なんてのも出来るかもな。莫大な市場になるはずだ。とにかく、そういう根拠のない自信は人間の悪しき保守性をもろに表している気がする。時代の発展を妨げる。




矛盾


 「コミュニケーションが流行りすぎる。」この言葉を聞いてハッとした。コミュニケーション・ツールが増えすぎて、僕らは不安だと思ったらすぐに仲間とつながる。人間と人間がもたれかかりあっても、本質的には何も解決しない。人間の弱さは、本人が個別に克服するしかない、だから孤立せよ、と。
 また、人間は不確実なものを好む。見えない未来に希望を感じ、先の読めないストーリーに興奮し、答えのない問いに遣り甲斐を覚え、自分の力を行使して自然と闘うことで幸せになる。
 元来、理由のないことが嫌いだった。広告についての研究では従来の「推測」マーケティングを否定した。「システム」が全てを変えると信じてIT業界へ進むことを決めた。然るべき時(right time)、然るべきものを(right value)、然るべき場所へ(right place)。人間はいつか、選択に迷うことがなくなると信じた。こうして、俺は幸福と乖離した生業を手にしようとしている。





山際 淳司
中央公論新社
発売日:2003-05-23




告知


久々にイベント出ます。DJやります。
ちょけNight
12/16 Wed. 
22:00~ 
@NO STYLE( 渋谷) 
¥1000(no drink) 

オールジャンル、自由な(DJも客も)雰囲気のイベントで、 クラブ好きのませた学生エンターテイナー共が超遊びでやってるイベント。俺も毎度ごっちゃまぜ・・・といきたいとこだけどジャマイカから最新ダンスチューン買ってきたからかけちゃう!テーマは"NAME YOUR POISON"ってとこだな。友達のバラガキも来るみたいだ。たまには夜遊びしてーって人は連絡ください。 連絡しなくてもどうぞ勝手に来て下さい。





事件の真相


 最後に、Jamaicaで聞いたトラブルについて最新情報。大阪にYellow Choiceってサウンド(クルー)があるらしい。結構有名らしく、上記イベントで世話になってるタクヤ兄さんも知り合いだとか。現在は岸和田からKingstonに拠点を移してるらしい。そのメンバーがJamaicanを暴行したとかで向こうで逮捕された、と聞いていた。俺はMontego Bayに戻ってからその事件のことを聞いたけど、ちょうど俺が行っている間に向こうではニュースになっていて、反日感情が高まっていたらしい。幸いトラブルには巻き込まれなかったけど、先に帰った友達はMo Bayに戻る車中で襲撃されたらしいし、俺が会った現地在住の日本人は「同じ日本人としていい迷惑だ」とボロクソに言っていた。そして、今日そのYellow Choiceのブログを初めて読んで少し真相が分かった。どうやらYellow ChoiceにはJamaicanのメンバーもいるらしく、要は内輪の揉め事だったらしい。ちゃんと謝罪はしているが、説明が分かりにくい。俺の友達は現に危険な目に遭っているし、他の在住邦人もとばっちりを受ける可能性があるんだからもうちょっとちゃんと説明する責任があると思う。
 確かに情報が錯綜している。彼らが嘘をついているとは思えないけど、日本人の間では誤解もあると思うし、事が収まっていない間は彼らの言うとおり俺も下手なことを書けないけど、インターナショナルに活動していくなら対応が少し足りないと思った。特に日本では「検証中」でも事実に対しての謝罪はしっかりすべきだと思う。次のリリースを待つ。
 こんなことがきっかけとなるのもアレだが、サウンドとしてはとても興味を持った。

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